2014年、日本脳卒中協会〔山口武典理事長(当時)〕と日本不整脈学会(現日本不整脈心電学会)〔奥村謙会頭(当時)〕が共同で心房細動週間事業合同実行委員会を起ち上げ、心房細動に起因する脳梗塞の予防を目的とし、「脈の日」(3月9日)から 1 週間を「心房細動週間」とすることを提唱、国民を対象とした啓発活動を行うこととしました。これは、超高齢社会のわが国において、心房細動とその合併症(脳梗塞、心不全、認知症)がさらに増加することが予測されており、疾患啓発活動を通し、その予防と治療の重要性を国民の方々に広く理解していただく必要性があったためです。このために、まず国民に脈をチェック(検脈)することを呼びかけるため、語呂合わせで、3(みゃ)月9(く)日を「脈の日(Check Pulse Day)」と設定し、一般社団法人日本記念日協会に登録しました。この語呂合わせは当時の脳卒中協会専務理事で合同実行委員会の取りまとめ役を務められました中山博文先生のアイデアだったと記憶しています。日本脳卒中協会提唱の脳卒中月間が毎年10月でしたので、3月に設定しましたのは時期的にも大変好都合であったと思います。 最初の活動はとくに中山先生にご尽力いただき、2015年の3月9日に協賛7社の協力を得まして、読売新聞と朝日新聞に1面全面広告を掲載しました。第1回目でしたので、山口先生と私の対談形式で、心房細動の総論的な啓発記事としました。さらにポスターも作成、印刷し、全国の病院、診療所に配布しました。また日本の数カ所で一般市民公開講座を実施し、啓発講演と血圧・脈拍測定の体験学習会も開催しました。これには実行委員会だけでなく、多くの協会会員の先生方、勤務先のスタッフの方々のご協力を得ることができました。改めて感謝申し上げます。 それ以来8年になりますが、2022年も3月9日に全国紙に1面全面広告を掲載、ポスターも配布しました。この数年は獨協医科大学の竹川英宏先生(日本脳卒中協会専務理事)にその年のテーマと掲載内容を考案していただき、8名の実行委員がメールでやり取りし、添削を繰り返し、完成させてきました。検脈について分かりやすく提示するとともに、心房細動検出に有用と思われます不規則脈波検出機能付き血圧計や携帯型(家庭用)心電計も紹介しています。竹川先生始め、実行委員の先生方にはご多忙中にもかかわらず、ご協力いただき深謝申し上げます。 これまでの活動により、国民にどの程度心房細動を理解してもらったかは定かではありません。しかし、毎年継続することにより、「心房細動」と「検脈」を多くの方々に周知し、心房細動の早期発見、早期治療を促し、合併症予防にきっと役立つと信じています。今後も皆さまのご協力をお願い申し上げます。出典 2015年3月9日 読売新聞全国版朝刊出典 2022年3月9日 読売新聞全国版朝刊済生会熊本病院循環器内科 奥村 謙(前日本不整脈心電学会理事長・前日本脳卒中協会青森県支部長)心房細動週間事業合同実行委員会
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