一般社団法人 日本循環器学会代表理事 平田 健一日本失語症協議会理事長 園田 尚美 日本脳卒中協会設立25周年を心よりお祝い申し上げます。 日本脳卒中協会は脳卒中の予防とその患者家族の支援を目的として1997年に任意団体として設立されました。2005年には社団法人、また、2012年には公益社団法人に認可されたとうかがっています。初代理事長は亀山正邦先生、その後、2001年からは山口武典先生が第2代理事長、2016年からは峰松一夫先生が第3代理事長を務められ、脳卒中の予防と脳卒中患者やそのご家族の支援を目的に全力で取り組まれています。 脳卒中はわが国の死亡原因の第3位であり、急性期を乗り越えても、患者とその家族は運動麻痺や失語症などの後遺症に苦しむことが多く、脳卒中予防と発症した患者とその家族を支援することが社会的に極めて重要です。このような課題を解決するため、脳卒中協会は、2008年から、「脳卒中対策基本法」の法制化を目指して来られました。2014年の通常国会で「脳卒中対策基本法案」が発議されましたが、残念ながら時間切れとなり、その後の衆議院解散・総選挙の為に廃案となりました。一方で、日本循環器学会は、日本における循環器病の克服を目指して活動してまいりました。日本循環器学会の目標は日本脳卒中協会と同じ方向であり、日本循環器学会や日本心臓財団は日本脳卒中協会の法制化への活動に参画いたしました。そして、2018年12月10日、第197回国会最終日に、念願であった「脳卒中・循環器病対策基本法」が可決、成立しました。日本循環器学会はこの法案の成立に日本脳卒中協会、日本脳卒中学会と協働して取り組みましたが、脳卒中協会の皆様の情熱と努力が法案の成立につながったものと実感しています。本法案の成立によって脳卒中・心臓病の克服に向けての取り組みがさらに加速すると期待されます。今後も両団体がお互いに協力し、脳卒中・心臓病の克服と健康長寿社会の実現に向けて歩んでまいりたいと思います。 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 公益社団法人脳卒中協会におかれましては、創立25周年をお迎えになられ、誠におめでたく、心よりお祝い申し上げます。 ご創立以来、脳卒中の予防・治療、そしてリハビリテーションの在り方についての調査研究事業や厚労省への提言、後遺症がありながら、住み慣れた地域で日常生活を送る患者と家族を力強く支援していただき、感謝に堪えません。 中でも、長年継続の「脳卒中体験談集」は、今年で24回を迎え、応募作品には脳卒中後の心の葛藤や後遺症がありながら、人生を歩んでいる方々の生の声、介護に心身を尽くしているご家族の心の苦しみ、一瞬の喜びの声などが寄せられ、読者に共感と感動と勇気を齎しています。 また、2018年12月10日国会の最終日に成立した脳卒中循環器病対策基本法が成立するまでの10年余りのあゆみは、脳卒中協会の役員、諸先生方、関係する皆様は、壮絶な時間を過ごしました。私は、成立した瞬間、胸が熱くなりました。係ったすべての皆様に、心から感謝を申し上げたいと思います。この法律は脳卒中や心筋梗塞などの循環器病の予防推進と、迅速かつ適切な治療体制の整備を進め、健康寿命を延ばし、医療・介護費の負担軽減を図ることを目的としています。附則第3条には、「失語症」という文字が明記され、脳卒中の後遺症を有する者が社会生活を円滑に営むために必要な支援体制の整備等について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすることと、記されています。後遺症を負って過ごす第2の人生は、障害の重度・軽度にかかわらず、皆がそれぞれ、筆舌に尽くせないほどの困難を抱えます。障害は障害者自身が生み出すものではなく、社会全体の障害に対する理解不足から起こることです。脳卒中協会では後遺症障害のある者の生きづらさを多くの方にご理解いただき、社会が生み出す障害・障壁を低くするべく力を尽くしています。また、脳卒中協会には、多彩なメンバーによる患者家族委員会が構成され、後遺症があっても、患者と家族が「当たり前の生活」を送ることができる過程や実態に着目し、環境改善に向けて力を尽くす協会の体制もあります。私たち患者会として、心から感謝申し上げます。今後のますますのご発展を心からご祈念いたします。設立25周年に寄せて祝 辞
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