日本脳卒中協会 創立25周年記念誌
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 日本脳卒中協会宮崎県支部は宮崎大学脳神経外科学講座の竹島秀雄教授や救命救急センターの落合秀信教授を中心に活動しております。啓発活動として市民公開講座、電話相談を実施してきました。第1回市民公開講座は2009年宮崎市内で開催され、以後宮崎県内7つの二次医療圏での持ち回り方式で場所を変え毎年開催してきました。開催地により参加人数は増減しましたが、どの地域の参加者も皆熱心に聴講され、脳卒中への関心の高さや啓発活動の重要性を認識致しました。ただCOVID-19の流行を受け、2019年第11回市民公開講座inえびの市での開催を最後に2020年から3年連続で開催中止となり早期再開が望まれます。一方で脳卒中電話相談は継続し、開業医や勤務医を対象とした脳卒中関連研究会もWEB開催で対応し脳卒中啓発活動を継続中です。 診療面では急性期脳梗塞に対するrt-PA製剤静注療法、2014年以降は脳血栓回収器材を用いた脳血栓回収療法の実施や普及活動を行い、またドクターヘリ・ドクターカーを用いた脳卒中患者搬送システムの構築、2017年からは遠隔画像読影システムを利活用した脳卒中専門医不在地域への遠隔診療支援で、宮崎県内の脳卒中診療の均てん化を図る調節役として活動中です。 2018年循環器病対策基本法が施行され、本協会支部員が脳卒中部門の循環器病対策推進協議会委員として任命され、県庁職員や各推進協議会委員と協議を重ね、2022年4月宮崎県循環器病対策推進計画が施行されました。本計画では「高血圧の改善(収縮期血圧の平均値の低下)」、「特定健康診査の実施率向上」等を目標として掲げ、今後目標達成に尽力する予定です。 鹿児島支部は2005年4月18日付けで私が支部長を拝命し、発足しました。 本県は脳卒中死亡率が非常に高い状態が続いており、脳卒中の予防および死亡率低下が喫緊の課題として注目されています。脳卒中死亡率が高い原因は明確ではありませんが、お酒をたくさん飲む方が多い、血圧の管理が十分でない、などの地域性も影響しているかもしれません。 このような状況を改善すべく、県の担当部署とも連携し、例年脳卒中週間の前後に「脳卒中市民講座」を開催しております。勉強熱心な方が多く、毎回数百人の市民の方にご参加いただきました。 2008年5月31日には山口武典先生、端和夫先生、中山博文先生にもご来鹿いただき、市民シンポジウムを開催しました。県内で脳卒中診療や対策に従事しておられる先生方にご登壇いただいて課題を議論し、市民の方へも発信しました。 また本県では、脳卒中発症時に専門施設に搬送されなかったり、受診までに長時間を要したりする現状もみられたため、県消防保安課やMC協議会とも連携のうえ、脳卒中搬送プロトコールを策定し、迅速に専門施設へ搬送されるようシステム作りを行いました。さらに継ぎ目の無い治療継続や連携体制を充実するため、脳卒中連携ネットワークを構築し、定期的な研究会も開催しております。 なおこのような支部活動は、医師会や関連の先生方、県担当課をはじめ、各方面に多大なご協力を賜り継続出来ております。この場を借りて御礼申し上げます。 本県は離島や僻地も多く、未だにrt-PA療法や血栓回収療法などガイドラインで推奨されている標準治療もままならない地域も有り、依然解決すべき課題が山積しています。2022年3月には本県でも循環器病対策推進計画も策定されたこともあり、更なる対策強化、連携強化を進め、脳卒中発症予防や重症化予防、死亡率低減をめざして活動して参ります。             鹿児島県支部 支部長 松岡 秀樹宮崎県支部 支部長 竹島 秀雄   副支部長 落合 秀信、大田 元、上原 久生2019年えびの市市民公開講座スタッフ支部長 松岡 秀樹脳卒中市民講座

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