日本脳卒中協会 創立25周年記念誌
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 佐賀県支部は2006年に設立され、黒田康夫先生(元佐賀大学神経内科教授)、松島俊夫先生(前佐賀大学脳神経外科教授)、河島雅到先生(現国際医療福祉大学脳神経外科教授)を代々の支部長とし、この間、藥師寺祐介先生(現関西医科大学脳神経内科教授)が副支部長として様々な活動に取り組んでこられました。現在は私が支部長を引き継ぎ、江里口誠副支部長(佐賀大学神経内科)とともに運営しています。これまで、ストップ!NO卒中エリア講演会、脳卒中市民公開講座、脳卒中病院前救護研修会、脳卒中の予防を考える会などを定期的に開催し、佐賀県の脳卒中医療の向上をめざしてきました。また、大脳・小脳・脳幹からなる犬をモチーフとした佐賀県支部のゆるキャラを作成、“脳ドック”と命名し、脳卒中の啓発活動に役立ててきました(右上図:小城市編 小城羊羹と清水鯉、右下図:富士町編 古湯温泉の紅葉と天衝舞浮立)。 新型コロナウイルス感染拡大防止のため様々な活動が制限されるなか、日本脳卒中学会主導のもと、全国どこでも昼夜を問わず脳卒中に対応できる脳卒中センターの整備が粛々と進められています。一方で、脳卒中月間標語がいうように“脳卒中 予防に勝る 薬なし”。救急医療と脳卒中予防は、脳卒中対策の両輪です。昨今ようやく、鬱々としたコロナ禍の雰囲気から回復の兆しが見えてきました。脳卒中予防の啓発に、ゆるキャラ脳ドックとともに佐賀県各地をめぐりたいと考えています。これからも佐賀県支部をどうぞ宜しくお願い致します。 この機会に協会のホームページを改めて見て、日本脳卒中協会とは、全国で100万人を優に超すと言われる脳卒中患者のために、医師を中心として設立された団体であることと、脳卒中予防や発症時対応に関する知識の普及と啓発、さらには脳卒中患者の自立と社会参加の支援をその役割としていることを再認識いたしました。また、特にその活動の中でも患者さんとそのご家族の小さな声を社会に広く公開しいている活動には大きな意義を感じました。そして、その成果は2018年12月の、脳卒中・循環器病対策基本法の成立という形で結実したのであろうと思いました。 これまで長崎県支部は、年一回市民公開講座を開催し、定期的に協会から送られてくる啓発資材を関連施設等に配布して参りました。しかしながら、情報伝達の手段が紙媒体からネットワークに急速に置き換わっていく中で、地方の支部として何を発信したらよいのか?を考えさせられる日々が悶々と続いていたのも事実です。しかもここ3年間は、コロナ禍で市民公開講座は開催できておりません。そのような折、2020年10月に循環器病対策推進基本計画が公表され、2021年6月に第1回長崎県循環器病対策推進協議会が招集され、2022年3月に長崎県循環器病対策推進計画が策定されました。ようやく医療と行政が地方で同じテーブルに座する機会ができたのです。今や我々は日本脳卒中学会と一体となって県の推進計画策定に参画し、それに従って施策を実現させていくことが新たな使命となりました。さあ、これからが本番です。幾多の困難が待ち受けていることでしょうが、全国、一丸となって脳卒中と戦って参りましょう。佐賀県支部 支部長 増岡 淳(佐賀大学 脳神経外科)長崎県支部 支部長 辻野 彰

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