日本脳卒中協会 創立25周年記念誌
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 愛媛県支部は、大西丘倫・久門良明 両名誉教授のご尽力で、愛媛大学脳神経外科学教室内に事務局を設け、2007年より活動を続けています。 愛媛県は東西・南北ともに長く、全体で弓状の形をとっています。東から、宇摩、新居浜・西条、今治、松山、大洲・八幡浜、宇和島の6医療圏で構成され、文化・歴史的には東予・中予・南予の3地域に分かれます。そのうち、中予に位置する愛媛大学医学部附属病院においては、2003年に脳卒中・循環器病センターを設置し、2012年には脳卒中センターに改変されてSCUの整備を勧めてまいりました。全てのサブスペシャリティをカバーして、松山圏域の診療に貢献しておりますが、依然として、常勤の脳神経外科医を整備できない地域や病院もあり、地域医療を支える多くの病院間で、より機密な連携が必要です。 これらを踏まえて、当支部では寄付講座の地域医療再生学講座とも協力して事業を進めてきています。具体的には、市民からのFAX相談に留まらず、市民啓発事業として「市民公開講座(年1回)」、「大学病院事業のヘルスアカデミー開催(年1回)」、教育研修事業として「ストップ!NO卒中プロジェクトエリア講演会」、救急隊教育研修事業を継続的に行っています。また、脳卒中医療連携推進事業として、附属病院内の総合診療サポートセンター(TMSC)と共同で「シームレス研究会」および「中予作業部会」を、年間を通じて複数回開催することで、地域の医療連携におけるレベルアップを図っております。 急性期治療において、介入的治療手法の有効性が示された現在、十分な体制の整備が求められており、急性期血行再建治療の普及について、愛媛県循環器病対策協議会にも全面的に協力しています。愛媛県支部 支部長 國枝 武治(愛媛大学大学院医学系研究科 脳神経外科学教授) 副支部長(中予) 渡邉 英昭(愛媛大学大学院医学系研究科 脳神経外科学准教授)副支部長(東予) 田中 英夫(愛媛県立新居浜病院 救命救急センター長)副支部長(南予) 樋口 享 (樋口脳神経外科 医院長) 高知県支部は2003年、全国で5番目の支部として設立されました。支部長(森本雅徳、高知市民病院脳神経外科)、副支部長(野島祐司、幡多けんみん病院脳神経外科)としてスタートし、支部を高知市民病院に置きました。同年、高知市文化プラザ「かるぽーと」で開催した第一回脳卒中市民公開講座において、端 和夫副理事長から委嘱状が授与されました。その後、2005年に高知市民病院が高知県立中央病院と統合合併し開院した高知医療センターに支部を移しました。 支部の活動としては、毎月1回「脳卒中なんでも電話相談」を行っていましたが、相談が年々少なくなり2012年で終了しました。年1回の「脳卒中市民公開講座」は比較的多くの聴衆にご参加いただき好評を得て引き続き開催しています。そして、「開業医に対する脳卒中治療情報提供」や「rt-PA適正使用講習会」などの活動も行いました。これらの活動は、行政の方々、高知医療センター(旧高知市民病院と旧高知県立中央病院の統合による)、近森病院、高知赤十字病院、内田脳神経外科や大野内科などの多大なサポートによるものであります。運営費は、日本脳卒中協会から当初いただいた活動費、支部開設にご尽力いただいた内田脳神経外科、内田理事長が関連病院から集めていただいたご寄付、そして製薬メーカーのご支援によるものでした。 2007年には、節目の第10回脳卒中市民シンポジウムを「かるぽーと」で開催していただきました。シンポジウムへの参加者が地方の小都市としては多く、本部の方から高知県民の脳卒中に対する意識の高さをお褒めいただいたことが思い出されます。 2017年に、支部長は高知大学脳神経外科教授 上羽哲也に交替し、行政との篤いパイプのもと、県内の脳卒中診療に携わる急性期病院、回復期病院、そして慢性期療養介護施設などを統合しより高い視野にたった活動を続けています。高知県支部 支部長 上羽 哲也脳卒中市民公開講座(2009)の参加者2019年(令和元年)5月11日の市民公開講座

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