和歌山県は紀伊半島南西側約半分を占める南北に長い県で、7つの二次医療圏に区分されます。このような地理的条件の中では脳卒中をはじめとする県内の神経救急医療の均てん化が脳卒中協会和歌山県支部の最重要課題であり、県内のどこで発症しても高度な脳卒中救急医療が受けられるような体制を整備する必要があります。和歌山県立医科大学脳神経外科 初代教授 駒井則彦先生、2代目教授板倉 徹先生の両歴代教授のご尽力で私自身が教授に就任し、日本脳卒中協会和歌山県支部長を引き継いだ際には既に県内のほぼ全ての2次医療圏には脳神経外科が配置されていました。そこで、次のステップとして、県内の脳卒中診療の基盤をより強固にするために、これらの医療圏基幹病院の機能的なネットワークを構築する手段を考えました。2019年の脳卒中・循環器病対策基本法の施行が追い風となり、行政からの支援もあり、患者の診療・画像情報を施設間で共有できる情報通信システムを導入することができました。今日、2003年から運用しているドクターヘリの活用もあり、脳卒中急性期などの高度な医療が必要な場合の患者の施設間移送がより迅速、効率的に行うことが可能になり、県内の神経救急医療の均てん化が実現されつつあると考えています。 その他の和歌山県支部の活動として、県全域の脳卒中診療の充実を図るための啓発事業を積極的に展開しております。(1)地元放送局のテレビ・ラジオ健康番組への出演や新聞コラム等への執筆などによる脳卒中の症状や予防に関する一般の方々への啓発、(2)年3〜4回の頻度で一般医家対象の脳卒中予防やリハビリに関する研修会の開催、さらに(3)年1回の一般内科医、研修医、救急隊員・救命救急士、看護師を対象としたISLS/PSLSコースを実施しております。これからも和歌山県支部として様々な脳卒中啓発活動を通じて県内の脳卒中医療の向上に努めてまいります。和歌山県支部 支部長 中尾 直之(和歌山県立医科大学脳神経外科教授) 鳥取県では2017年3月に私が日本脳卒中協会鳥取県支部長を拝命し、現在、副支部長に鳥取大学医学部脳神経医科学講座 脳神経内科学分野の花島律子教授と同脳神経外科学分野の坂本 誠准教授に就いていただいています。以前もそうでしたが、同じ施設内に支部長、副支部長がいるため、非常に連携がとりやすい体制になっています。これまでの主な事業としては、日本脳卒中協会とファイザー株式会社の共同で「ストップ!NO卒中プロジェクト」の活動を行っております。鳥取県の二次医療圏には一次脳卒中センター(PSC)が西部に2施設(うち大学病院がPSCコア)、中部に2施設、東部に1施設あり、脳卒中医療の均てん化がある程度なされています。毎年、脳卒中を専門とする高名な講師をお招きして鳥取県支部講演会(於米子市や鳥取市)を開催し、脳卒中に関わる医療従事者に対して最新の情報提供を行っています。介護が必要になる原因としては、認知症や脳卒中が上位を占め、認知症のなかでも3〜4割が脳血管性認知症であることから、最近では一般市民の脳卒中に対する関心も非常に高くなっています。数年前には一般市民向けの活動として、その当時の脳卒中週間(5月25日〜31日)に合わせて、「脳卒中 正しい知識で予防と早期発見を」と題して支部長、副支部長の3人で座談会を行い、その内容が地方紙に掲載されました。2019年3月からは、私自身、脳卒中・循環器病対策基本法都道府県担当委員(鳥取県担当)も兼務しておりますので、今後も鳥取県民のみなさまに十分な脳卒中医療を施すことができるように尽力していきたいと考えております。鳥取県支部 支部長 黒﨑 雅道(鳥取大学医学部脳神経医科学講座 脳神経外科学分野・教授)支部長 中尾 直之支部長 黒崎 雅道
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