日本脳卒中協会京都府支部は、2004年2月に京都医療センターを事務局として開設し、いずれも当時、京都第二赤十字病院におられた山本康正先生、舞鶴医療センター吉岡亮先生のご協力を得ながら、FAX相談、市民公開講座、医師向けの研修会等の事業を行ってきました。 開設時期は脳卒中治療が大きな変革を迎えた時期でありました。変革のひとつは、血栓溶解薬rt-PAが臨床導入され脳梗塞の急性期治療が始まったこと、二つ目は、脳卒中の早期リハビリ治療の有効性が認識され、府内の脳卒中患者受け入れ病院が急性期病院と回復期リハビリ病院とに役割分担され、地域医療連携が推進されたことでした。 市民の皆様にも“脳卒中の治療”について従来の認識を大きく変えていただく必要があり、脳卒中市民公開講座でも、医師のみならず、看護師、薬剤師、管理栄養士、リハビリなどの幅広い分野から、お話ししていただきました。また、患者の立場から、元NHKアナウンサーの山川静夫様にご自身のrt-PAで治療されたお話しをしていただき (2009年)、女優の真屋順子様には闘病経験のお話を(2010年)、三井住友海上あいおい生命株式会社の川勝弘之様には、脳卒中経験者としての、緊急治療、回復過程、予防について(2011年)お話いただき、聴衆の皆様は、日頃の心構えの大切さを実感された様子でした。 2022年4月からは、支部長を塚原徹也から、京都第二日赤の永金義成先生に引き継ぎ、新しい体制となりました。この2年間あまりは、コロナ禍の影響で、京都府支部の活動も制限されてきましたが、今年は、10月29日の世界脳卒中デーに合わせ、脳卒中市民講座を再開するなど活動再開の年となります。 大阪府支部では2005年5月29日に第一回脳卒中市民講座を開催しました。脳梗塞経験者である故・西城秀樹さんをお招きし、「あきらめない脳梗塞とリハビリ」と題して対談を行いました。その後も毎年脳卒中週間に脳卒中市民公開講座を開催し、200〜300名の一般参加者を対象に、脳卒中の予防、治療、リハビリテーションなどの最新の話題を提供して参りました。大阪府下の脳卒中専門医やリハビリテーション医のほか、看護師、医療ソーシャルワーカーなども講師として招聘し、多様な視点から患者さんや家族の生活に直結するテーマを選んで講演会を実施してきました。2019年には第60回日本神経学会学術大会で「おおさか脳神経内科ウィーク」と題した市民公開講座が4日間開催され、うち1日を日本脳卒中協会大阪府支部が共催し、脳卒中をテーマとした市民公開講座を開催しました。2020年はCOVID-19感染拡大のためやむなく市民公開講座の開催を断念しましたが、2021年にはホームページを通じ、過去の講師による講演動画を公開し、コロナ禍においても市民啓発活動を継続しております。そのほか、毎月第4土曜日には電話相談事業を実施し、脳卒中診療にたずさわる医師が直接電話相談に応じる体制を整え、個別相談事業を継続しております。脳卒中に関するそれぞれ個別の困りごとや悩みをお聞きし、脳卒中診療の経験にもとづいた具体的なアドバイスを提供しています。大阪府支部では、ひきつづき脳卒中予防のための啓発活動や、脳卒中患者家族支援のための活動を継続して参ります。京都府支部 前支部長 塚原 徹也大阪府支部 支部長 望月 秀樹脳卒中市民講座の開催ポスター (2003年、および 2020年)脳卒中市民講座会場風景
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