日本脳卒中協会 創立25周年記念誌
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 三重県支部は多くの支部と同様、2008年に開設されました。当初は支部長(滝 和郎 三重大学脳神経外科前教授)、副支部長(金丸憲司 鈴鹿回生病院元副院長)と脳神経外科医コンビが中心となり、実際の啓発事業は脳神経内科、リハビリテーション科、救急科と合同で行われました。発足当時より行われている主な事業は、一般市民を対象としたFAXでの脳卒中に関する何でも相談、市民公開講座、開業医、研修医や救急隊向けの教育研修事業で、当初は脳梗塞rt-PA適正使用講習会にも深く関与していました。脳卒中に関する正しい知識を普及し、地域連携や急性期の早期受診をはかるための市民公開講座を通じた市民への啓発活動では、野菜ソムリエ、管理栄養士、理学療法士などの支援も得るなど工夫を凝らし、また三重県下の脳卒中診療ネットワークの連絡調整なども行ってきました。2013年より支部長は冨本秀和 三重大学脳神経内科前教授、副支部長は金丸憲司、鈴木秀謙(三重大学脳神経外科教授)の3人体制となりました。三重県の脳卒中診療体制は徐々に整備され、県内共通の脳卒中プロトコールにより各地域で適切な病院に搬送できる体制を整え、脳卒中病院前救護による救急隊への教育にも積極的に取り組んでいます。またドクターヘリによる超急性期脳卒中患者の広域搬送も行っています。2007年に結成された「三重脳卒中医療連携研究会」は2016年に「三重脳卒中医療連携カンファランス」に改称され、脳卒中急性期治療から維持期へのスムーズな移行が可能となるよう県内の脳卒中医療連携の統一化に取り組んでいます。県下全域で実際に運用している脳卒中地域連携パスや患者・家族向けのパンフレットは本研究会のホームページからダウンロードできます。2022年より上記の3人体制となり、コロナ禍でここ2−3年少し停滞している啓発活動を再度、活性化できるよう努めていくつもりです。 滋賀県では事務局を滋賀医科大学医学部脳神経外科学講座内に置き、滋賀医科大学内の脳神経内科学や公衆衛生学などの関連講座、滋賀県および滋賀県医師会、県下の各医療機関などとの協力体制のもと運営しております。県民公開講座、ISLS(神経救急蘇生)コース、各種講演会などを通し、脳卒中に関する正しい知識や最新情報の提供を行うとともに、電話相談を通して直接ご質問にお答えしております。 2010年に滋賀県庁、滋賀県医師会、各病院など多くの関連機関からの賛同いただき、琵琶湖脳卒中コンソーシアム(BIWA-BAC)を立ち上げ、活動を活性化しました。以降、県内における脳卒中診療の把握のための「滋賀脳卒中登録事業」を進め、現在は「滋賀脳卒中・循環器病登録」へと発展しております。「滋賀脳卒中登録事業」では、脳卒中対策基本法の成立へ向け県の補助金を得ながら県内発症の脳卒中を継続して登録するもので、得られた解析データを県の保健医療計画や循環器病対策推進計画の作成に利活用するに至っており、滋賀県支部としてもこれらのデータをホームページや公開講座などで県民に示しながら脳卒中に関する啓発活動を進めています。滋賀県では、一次予防のための危険因子の管理不足、発症後の医療機関への受診の遅れなどが問題点として挙げられ、啓発活動の重要性を再認識しているところです。電話・FAX相談も継続しており、平均で月1件程度で約3分の1は滋賀県以外からの相談です。内容では、受けている治療方針の是非、後遺症の回復の見通しなどが多くなっています。 今後も各関連機関や病院と連携しつつ全県型の活動を進めながら県民への情報提供を進めていきます。滋賀県支部 支部長 野崎 和彦支部長 鈴木 秀謙(三重大学脳神経外科教授)副支部長 新堂 晃大(三重大学脳神経内科教授)副支部長 金丸 憲司(金丸脳脊椎外科クリニック院長)支部長 野崎 和彦

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