日本脳卒中協会 創立25周年記念誌
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 日本脳卒中協会は25周年をむかえておりますが、静岡県支部は2008年度に前支部長の畑隆志先生(現、静岡市立清水病院病院参与)によって開設されていますので、比較的若い支部ではないかと考えています。記録をみますと、2009年度には市民啓発事業として市民講座が生命保険会社と共催で開催され、開業医ハンズオンセミナーや脳卒中治療に関する講演会などの教育研修事業が製薬会社さんとの共催で展開されています。その後も、共催の形(SCRUM、CareAF、ストップ!NO卒中など)で、いくつかの研修会が開催を重ねるようになっています。2015年には救急隊教育研修事業として県の消防学校での講義も行われています。こうした事業の展開は畑先生のご尽力のたまものと考えています。 そして私が2018年度になって静岡市立清水病院の畑隆志先生から支部長を引き継いだわけですが、それまで協会とはあまりご縁がありませんでしたので、支部の活動がやや失速した感は免れないと感じており、大変反省しております。幸い、順天堂大学静岡病院脳神経外科の山本拓史先生に副支部長になっていただき、2019年には静岡県東部での講演会開催会から新支部長としての活動をはじめたところです。残念ながら、2020年はコロナ対策で講演会の開催もままならい状況でしたが、2021年には静岡県西部の聖隷浜松病院の大橋寿彦先生にも脳卒中協会静岡県副支部長になっていただき、講演会などの啓発活動を増やしているところです。 また2020年には脳卒中循環器病対策基本法に基づき静岡県でも循環器病対策推進協議会が設置されました。山本先生、大橋先生とともに協議会の委員となり、協議に加わらせていただきました。2022年3月には静岡県循環器病対策推進計画を制定することができました。この中で静岡県の医療統計によると、「がん」と「心血管疾患(心筋梗塞、心不全など)」の年齢調整死亡率は全国平均を下回っていますが、「脳卒中」では男女とも全国平均を超えており、克服すべき課題となっています。静岡県は東部(伊豆を含む)、中部、西部と東西に長い県であり、地域によって、喫煙者数や高血圧などのリスク要因も若干異なっているところもありますので、各地域ごとの対策が必要かと考えているところです。今後も次期の循環器病対策推進計画の設定に向け脳卒中協会静岡支部としても努力してまいる所存です。 2021年は新たな取り組みとして、世界脳卒中デーにおける世界脳卒中機構のシンボルカラー(インディゴブルー)によるライトアップに取り組み、(1) 静岡市役所本館ドーム(2) 静岡県富士山世界遺産センター(富士宮市) (3)世界遺産である韮山反射炉(伊豆の国市)にてライトアップを実施することができました。 今後も脳卒中協会の理念に基づき、脳卒中の予防と患者家族の支援をめざして努力した参りたいと考えております 日本脳卒中協会愛知県支部は、名古屋大学脳神経外科学教授(当時)の吉田純先生を支部長としてそのあゆみを開始しました。愛知県下医系4大学(愛知医科大学、名古屋市立大学、名古屋大学、藤田医科大学)の脳神経系講座の支援のもと、市民公開講座や脳卒中予防や撲滅に対する活動を展開してきました。2019年には第20回日本医学会総会中部(会頭:斉藤英彦先生)が名古屋で開催された際には、中部地区8県12大学の脳神経系教授が一堂に介して、市民公開講座を開催するとともに、看護師や理学療法士が寸劇を披露し、脳卒中撲滅運動を展開しました。現在、支部長の若林俊彦とともに、4名の副支部長(奥田聡;独立行政法人国立病院機構東名古屋病院院長、宮地茂;愛知医科大学脳神経外科教授、勝野雅央;名古屋大学脳神経内科教授、齋藤竜太;名古屋大学脳神経外科教授)との綿密な連携の下、独立行政法人国立病院機構東名古屋病院に事務局を設置し、日本脳卒中学会との連携、WEBによる各種講演会開催、メディアを介しての情報啓発活動などを積極的に展開しています。この愛知県には、元来、脳卒中診療に対する意識の高い地域であり、先進医療研究では優れた医学者を多々輩出しています。例えば、脳動脈瘤のクリッピング術に使用する「スギタクリップ」の発明者の杉田虔一郎先生(本業績にて、脳神経外科・神経科学のノーベル賞と言われるオリベクローナ賞受賞(1984年度))、脳血管内治療の先駆的治療法の開発に注力した根来眞先生(本業績にて、2010年度一般社団法人日本脳神経外科学会斎藤眞賞学術賞受賞)、脳動脈瘤手術実績数では世界有数を誇る佐野公俊先生(ギネス記録保持者)、国際的に日本の脳神経外科医療の啓発活動を展開している加藤庸子先生(本業績にて、2017年度一般社団法人日本脳神経外科学会斎藤眞賞国際賞受賞)、等が特筆されます。今後、愛知県下医系4大学の脳神経内科・脳神経外科・循環器内科を中心に、更なる脳卒中医療体制の整備と先進医療開発の魁として、大きな飛躍を目指しています。静岡県支部 支部長 原田 清(静岡県立総合病院脳神経内科)愛知県支部 支部長 若林 俊彦(医療法人五一六五ナゴヤガーデンクリニック 院長・理事長/名古屋大学名誉教授/脳神経外科学)支部長 若林 俊彦

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