日本脳卒中協会福島県支部は、2009年に福島県立医科大学脳神経外科名誉教授である児玉南海雄先生が初代支部長に就任し活動を開始しました。その後、2019年に福島赤十字病院名誉院長の渡部洋一先生、2022年に福島県立医科大学脳神経外科教授の藤井正純が、2代目、3代目の支部長を引き継いでいます。 支部長が変わりましても、地域住民の方々に脳卒中の予防と治療に関する正しい知識を知っていただき、住民の健康を守るという目的に変わりはありません。2009年に福島市で開催した第1回福島県市民公開講座を皮切りに、その後継続的に県内各地で市民公開講座を開催し、脳卒中に関する予防・啓発活動をおこなってきました。講師の先生は、ご高名な脳神経外科のエキスパート、リハビリテーション医師、栄養士など多彩であり、講演内容も、脳卒中疾患の予防・診断・治療にとどまらず、東日本大震災が与えた住民への影響や認知症に関するものまで多岐にわたりました。いずれもわかりやすい解説で、毎回200名以上の市民の方々が参加され、真剣に聴講されていました。新型コロナウイルス感染の拡大により2019年以降は市民講座の開催を見合わせていますが、2023年には再開したいと考えております。 今年の世界脳卒中デーには、福島県内主要4都市でのライトアップを計画しています。福島県は、メタボリックシンドローム、高血圧、脂質異常症等の患者割合が高く、喫煙率も全国平均を上回っています。今回のライトアップにより、福島県民の心に脳卒中への関心が浮かび上がることを期待しています。〜脳卒中県からの飛翔をめざして〜 茨城県支部は、2007年に筑波大学脳神経外科松村明教授を支部長、水戸医療センター園部眞病院長を副支部長として設立されました。事務局は、筑波大学脳神経外科に置きました。市民公開講座、FAX相談による市民啓発と情報提供、医師・医療職を対象とした脳卒中医療向上が主な事業でした。2014年に副支部長は、筑波大学附属病院日立社会連携教育研究センター脳神経外科小松洋治教授が引き継ぎ、2016年に筑波大学脳卒中予防・治療学講座開設により赴任した松丸祐司教授が副支部長に加わりました。2020年松丸が支部長に就任して現在に至っています。 茨城県は、都道府県別年齢調整脳卒中死亡率が男性6位、女性10位(2015年)で、予防対策と医療体制整備が課題となっています。脳卒中発症と関連が強い収縮期血圧、喫煙率、塩分摂取量は全国平均を上回っています。市民公開講座を、県全域を巡るように開催して予防と早期受診を啓発してきました。Jリーグ鹿島アントラーズの協力で啓発イベントも開催してきました。 茨城県は、人口あたり医師数は46位で医療資源が少なく、平野部が多くて人口が拡散しているため医療資源の集中を行いにくい県でもあります。医療職向けの講演会は、コロナ後もWEBで継続できていて、脳卒中知見のアップデートに努めています。脳卒中予防・治療学講座と連携して、若手医師を対象とした症例検討会、シミュレーションラボの提供に協力して、脳卒中医療に取り組む医師の育成にも努めています。 脳卒中・循環器病対策基本法施行を追い風に県保健医療担当部局との連携は強まっています。看護、リハビリテーション等の職能団体との連携、患者会等からのニーズ収集をすすめ、脳卒中県からの脱却とともに、患者さんやご家族が暮らしやすい茨城県を目指して活動してまいります。茨城県支部 副支部長 小松 洋治市民公開講座:松村明支部長(当時、中央)、小松洋治副支部長(左から2人目)初代支部長 児玉 南海男二代目支部長 渡部 洋一三代目支部長 藤井 正純支部長 松丸 祐司
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