日本脳卒中協会 創立25周年記念誌
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 2002年4月に開設した秋田県支部の初代支部長は鈴木一夫先生(元秋田県立脳血管研究センター疫学研究部長、現本荘第一病院保健センター)です。先生は全国に先駆けて秋田県で脳卒中発症登録事業を立ち上げ、県内病院へ出張し自ら登録を行い精度の高いデータベースを構築しました。データ解析の結果を国内外に発表し、その結果に基づいた脳卒中予防活動を積極的に行いました。秋田県のデータは国の施策へも様々な形で反映され、先生が開発された「脳卒中発症予測プログラム」は、都道府県や市町村における脳卒中対策にも役立ちました。一方、現在も行っている電話相談、FAX相談も立ち上げ、自ら相談窓口を務められました。これらの活動は現在の脳卒中・循環器対策推進計画の骨子に繋がっています。 2013年から筆者が支部長を務めています。副支部長は鈴木一夫先生、清水宏明先生(秋田大学大学院脳神経外科教授)、石川達哉先生(秋田県立循環器・脳脊髄センター病院長)、佐々木正弘先生(秋田県立循環器・脳脊髄センター副病院長)です。清水先生は脳神経外科のリーダーとして活躍されていますが、脳卒中医療体制の整備にも大いに尽力されています。石川先生は脳と循環器の包括的な医療体制という、脳卒中・循環器対策基本法が目指す医療体制の典型を実現すべく多方面にわたり尽力されています。佐々木先生は秋田県支部の事務局長も兼ねて様々な活動を担っていますが、危険因子をもつ患者の脳卒中発症予防について県内診療所の医師と共同研究を行っています。 支部では電話相談、FAX相談の他、県、医療機関、医師会、消防、企業などと共同で研修や啓発事業などを行ってきましたが、コロナ禍での事業の展開についてトライアルを始めようとしています。なお、脳卒中・循環器対策基本法の県協議会には3名が参画しています。秋田県支部 支部長 鈴木 明文(秋田県立病院機構理事長) 山形県支部は、2002年10月に全国4番目の支部として山形大学医学部内に開設されました。初代支部長は当時の山形大学医学部脳神経外科教授の嘉山孝正先生でした。支部活動としては、開設間もなく第8回JSA脳卒中市民シンポジウムを開催し、その後も電話相談、ストップ! NO卒中エリア講演会の開催等、山形県の脳卒中医療の向上のための活動を行ってまいりました。2022年4月より同大脳神経外科教授の園田順彦が2代目の支部長に就任しております。 山形県支部の特徴は支部のある山形大学医学部が中心となり県内23の脳卒中治療専門施設が県の委託を受けて年間3000例を超える登録がある悉皆性の高い脳卒中登録事業を行っていることだと思います。 2018年の脳卒中・循環器病対策基本法の成立により、山形県にも、山形県循環器病対策推進協議会が設立されました。施策は「①循環器病の予防や正しい知識の普及啓発」「②保険・医療および福祉に係るサービス提供体制の充実」「③循環器病の研究推進」となっています。③に関しては、上記の脳卒中登録事業が中心になると考えられますので、これまで通り悉皆性の高いデータを発信していきたいと考えています。①に関しては、これまで以上に山形県支部が中心となり県民への啓発活動等を行っていく必要があると考えています。ねんりんピック秋田2017における「脈チェック」コーナー支部長 鈴木 明文支部長 園田 順彦

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