日本脳卒中協会理事長 峰松 一夫4)2015〜18年:個別疾患基本法案に対する根強い反対意見もあり、議連は脳卒中単独法案の再発議は困難と判断、数年前より法制化運動が始まっていた循環器病との合流が提案されました。協会内での激論を経て、最終的にはこの方針が受け入れられました。2016年に「脳卒中・循環器病対策基本法の成立を求める会」が発足し、協同でのパンフレット作製や数度にわたる大規模国会集会を開催しました。その結果、2018年12月10日に基本法が成立、14日に公布されました。2)2020年:循環器病対策推進協議会と循環器病対策推進基本計画3)2021年〜現在:都道府県計画と第二期基本計画文 献 1)山口武典:日医会誌 2021;150:19-23 2)峰松一夫:医学のあゆみ 2021;278:256-260●基本法成立後の展開1)2019年:施行まで文 献 1)Nakayama H, Minematsu K, Yamaguchi T, et al. Int J Stroke 2020;15:7-8万筆以上の請願書署名名簿を国会に提出し、参議院にて「脳卒中対策基本法案」が発議、継続審議となりましたが、同年11月の解散・総選挙で廃案となりました。基本法施行までの1年間、日本脳卒中学会と共同で基本的施策を検討しました。予防啓発、患者QOL向上、相談支援は協会が主に担当し、短・中期的対策案をまとめました。協会に患者・家族委員会を新設、脳卒中患者・家族を対象とした全国アンケート調査を行いました。1〜5月の循環器病対策推進協議会(以下、協議会)で検討した循環器病対策推進基本計画(以下、基本計画)を6〜7月に閣議決定、9月〜翌年3月に各都道府県計画が策定予定でした。ここで新型コロナ感染症パンデミックが発生し、大混乱に陥りました。第1回協議会の冒頭、協会学会連名で、前述の短・中期的対策案を提出しました。第5回協議会で患者・家族アンケート結果を示し、対策の充実を求めました。厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/junkanki.html )に、これら協議会の開催記録、資料や議事録が公表されています。基本計画は、2020年10月27日に閣議決定されました。この年、世界脳卒中機構機関誌に基本法成立について発表し1)、注目を集めました。 各都道府県で対策推進計画策定が始まりましたが、新型コロナ感染症対策の影響で、都道府県計画が出そろったのは2022年3月、計画より1年遅れとなりました。厚生労働省は、米国心臓病協会機関誌Circulationに基本法並びに循環器病対策推進基本計画(以下、基本計画)概要版を発表しました(2021年)。先行論文が全く引用されず、学会や脳卒中の英語名称にも問題があり、協会はこれらを厳重抗議しました。基本計画は2023年3月までに改定予定で、2022年3月に協議会が再開されました(第2期)。協会は、改定要望書を準備し、都道府県の患者家族状況調査を開始しました。脳卒中対策検討特別委員会(2008年10月11日)峰松一夫)、基本法法制化運動が始まりました。2009年に複数の学術団体が合流し、基本法要綱案が策定され、立法化推進協議会が発足して、請願書署名活動も始まりました。国会議員連盟(会長:中山太郎)が組織されたが、9月に民主党政権が発足し、事態は振出しに戻りました。2)2010〜12年:国会議員への陳情等が再開され、2011年2月に 超党派議連が発足しました。しかし、3月の東日本大震災により法制化運動は頓挫してしまいました。2012年末に自民・公明党連立政権が発足しました。3)2013〜14年:法制化運動が再開され、2014年2月に超党派議連(会長:尾辻秀久、事務局長:石井みどり)が発足しました。18脳卒中・循環器病対策基本法成立を求める国会集会(2017年4月19日、参議院議員会館)●基本法成立までの試練日本脳卒中協会(以下、協会)内での議論から国会成立まで、複数の医学雑誌に年表付きで解説しました1,2)。1)2006〜09年:2006年に「がん対策基本法」が成立し、協会の「脳卒中戦略会議」で「脳卒中対策基本法」が話題となりました。2008年協会内に「脳卒中対策検討特別委員会」が設置され(委員長:基本法制定に向けてのあゆみ
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