日本脳卒中協会 専務理事・事務局長 竹川 英宏(獨協医科大学病院 脳卒中センター) 2012年から2013年にかけて栃木県庁を中心とした県内市町村、医師会等の医療関係団体、マスメディア等の民間機関の協同事業として「栃木県脳卒中啓発プロジェクト」(厚生労働科学研究「慢性期ハイリスク者、 脳卒中および心疾患患者に適切な早期受診を促すための地域啓発研究(研究代表者:宮本恵宏)」、循環器病研究開発費「新しい脳卒中医療の開拓と均てん化のためのシステム構築に関する研究(主任研究者:峰松一夫)」の協同事業)が実施されました。地方公共団体とタイアップしたキャンペーンは初めてのことでした。 2012年10月から 2013年5月にかけ、栃木県主導のもと自治体が主体となりマスメディア、パンフレットや小冊子の配布、中学生への教育などの啓発が行われています。その結果、脳卒中の主要な5症状(手足の運動麻痺、言語障害、激しい頭痛、歩行障害、視野障害)の正答割合は16%も増加しました。さらに2016年1月に脳卒中の主要な5症状の知識が薄れていないか調査を行うと、2013年の調査から約2年半経過していたにもかかわらず、2012年の啓発前の調査よりも正答割合は高く、啓発効果が維持されていました。 2012年からの「栃木県脳卒中啓発プロジェクト」は規模の大きさはやや小さくなったものの、現在も継続されいています。この啓発方法は自治体で実施可能な手段で全国のどの自治体でも実施可能なプログラムであり、多くの都道府県で活用されることを期待しています。 最後にこの場をお借りして、本プロジェクトに関係した、また現在も関係している全ての皆様に御礼申し上げます。日本脳卒中協会鹿児島県支部 松岡 秀樹 鹿児島県で、心房細動に関する知識向上等を目的に、中山博文先生や多くの先生にご協力を賜り啓発プロジェクトを行いました。 2020年4月〜2022年3月の期間に、県全域に広報誌等で検脈を呼びかける一方、設定した重点介入地域の医療機関や健診等の場では啓発ちらし配布やDVD供覧、ポスター掲示を行い、脈の取り方や心房細動に関する知識向上を図りました。介入前後で住民の方の知識や検脈実施者の変化、及び医師、保健師の指導状況等を評価する方針です。 残念なことにCOVID-19感染症蔓延のため啓発の機会が大幅に失われましたが、どうにか介入期間を終え調査結果の解析を進めて頂いています。 啓発効果が少しでも得られ実りあるものになっていることを期待しています。なお実施に際し県健康増進課、医師会の先生方、薬剤師会、協会けんぽ及び市町村国保担当の方などに多大なご協力を賜りました。この場を借りて感謝申し上げます。鹿児島県脳卒中啓発プロジェクト(経過報告)栃木県脳卒中啓発プロジェクト
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