日本脳卒中協会 創立25周年記念誌
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日本脳卒中協会 専務理事・事務局長 竹川 英宏参考文献:1)Toyoda K, et al. J Stroke Cerebrovasc Dis 201625:1829-37.2)Hart, R.G., et al. Ann Intern Med 2007;146:857-67.3)Kohsaka S, et al. Open Heart 2020;7:e001232.4)厚生労働省. 2020年人口動態統計. https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei20/index.html5)厚生労働省. 2019年国民生活基礎調査. https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/index.html6)Tanizaki, Y, et al. Stroke 2000;31:2616-22.7)Takashima, N, et al. Circ J 2017;81:1636-46.8)Rivard L, et al. Circulation 2022;145:392-409 脳卒中には心房細動が原因で心臓の中に血の塊(血栓)が形成され、脳や頚の動脈を詰まらせて生じる脳梗塞(心原性脳塞栓症)があります。この脳梗塞は他の原因で起こる脳梗塞よりも重症でお亡くなりになる方も多いのが特徴でした1)。しかし、ある種の薬で脳梗塞を約6割予防できることが知られていました2)3)。このような状況を鑑み、2014年に日本脳卒中協会と日本不整脈学会(現 日本不整脈心電学会)が「心房細動週間事業合同実行委員会」を立ち上げ、3月9日を「脈の日(Check Pulse Day)」として、一般社団法人 日本記念日協会に登録し、脈の日から1週間を「心房細動週間」と提唱して啓発活動を開始しました。「脈の日」は3と9の語呂合わせで決めました。 「心房細動週間」では脈が不規則になる心房細動にいち早く気づいてもらい、脳梗塞を予防してもらう啓発活動を行っています。主な啓発活動は「心房細動週間ポスター」を医療機関に配布し掲示する、新聞広告をだす、心房細動週間に合わせて啓発イベントを行う、「心房細動週間WEBサイト」で啓発を行う、です。 「心房細動週間ポスター」ではテーマ、標語を「心房細動週間事業合同実行委員会」で検討し作成しています。多くの医療関係の企業が本事業に賛同し、ポスターやチラシの作成を日本脳卒中協会に依頼してくれています。企業用の資材には依頼企業のロゴマークを入れて作成し販売するほか、日本脳卒中協会では企業が主体となった新聞広告や啓発資材の監修も行っています。新聞広告は当初朝日新聞、読売新聞(ともに全国版)に白黒で15段(1ページ)の大きさで掲載していました。最近は予算の都合もあり読売新聞への掲載となっていますが、朝日新聞の広告もできるように頑張っています。「心房細動週間WEBサイト」では心房細動について分かりやすく解説することに加え、心房細動における心臓のイラストや心電図、そして自分で脈をみる方法(検脈)の図や動画など、啓発資材を掲載しています。この啓発資材は市民公開講座で講演などにご利用いただいており、特に動画「脈の自己チェック〜心房細動を見つけましょう〜」(https://www.youtube.com/watch?v=Vbh5x-TV2_k)は2分弱の動画にもかかわらず非常に好評です。またフェイスブック(https://www.facebook.com/shinbousaidoushuukan)でも啓発を行っています。 脳卒中は死因の第4位4)になっていることに加え、寝たきりの第1位や要介護の第2位の原因です5)。心房細動があると脳梗塞を起こす危険性が3〜5倍増加しますが6)、適切な予防薬や、カテーテルアブレーションで脳梗塞が生じる危険性を大きく減らすことが可能です。脳卒中の6割以上が脳梗塞であること7)、脳梗塞のうち心原性脳塞栓症の原因で最も多いのが心房細動であることに加え、心房細動は認知症の原因にもなり得ること8)から、いち早く心房細動に気づくこと、適切な治療を行うことが大切です。 日本脳卒中協会と日本不整脈心電学会はこれからも精一杯、心房細動の啓発に努め          ていきます。2014年初回の心房細動週間ポスター2021年 読売新聞広告(2021年3月9日 読売新聞全国版朝刊掲載)心房細動週間啓発事業 

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