日本脳卒中協会 創立25周年記念誌
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座談会の様子を動画でものようなイメージをお持ちでしょうか。竹川  情報発信としては、草の根活動で行政と協力すること、これはやっぱりキーになると思います。患者さんご家族の声を吸い上げられないという話がありましたが、私たち医師も、病気の裏側にある患者さん、ご家族が抱えている悩みというものを充分に把握できていない、行政の方もおそらく何もわからないっていうのがやっぱり現実だと思いますので、それをいかに拾っていくかということ、脳卒中の患者さんやご家族にも、もっと協会に入っていただいて、医師主導の協会ではなく、患者さんご家族の声を拾い上げて、真に患者さんご家族にも貢献できるような団体にしていく必要があるというふうに感じています。峰松  元々の目的である一般市民に対する啓発と、それに伴って予防するということと、脳卒中になった人と家族に対する支援、これは脳卒中の発症がゼロに近くならない限りは絶対に必要な作業ですし、これは日本脳卒中協会がやらないと誰もやってくれないので、姿形は変わるかもしれませんが、絶対に必要な命題であると思います。姿形を変えながら継続していくのが大事と思っています。藤井  日本脳卒中協会のホームページを見ると、患者さんや家族に役に立つ動画の資材などかがたくさんあります。けれども、やっぱりまだまだ知られていと思いますので、まずはその協会の活動を、本当に広くたくさんの人の身近なものにしていくことがすごく大事だろうなと思っています。そのためには、行政からの委託を受けて行う活動などの機会を活用して知らせていくことは続けていきたいと思います。その一方で、もっと身近なこと、たとえば私が勤めている病院で、リハビリ病棟に入られた患者さん達に、日本脳卒中協会が作成した体験談の動画を視聴してもらえるような仕組み作りに取り組んだりしています。そんなふうに、車の両輪を回すように活動ができたらいいなと考えています。司会  川勝さんはいかがでしょうか。川勝  失礼な言い方かもしれませんが、脳卒中の知識の普及啓発は、市民や患者さんにだけではなくて、行政マンと医療従事者にもやらないと駄目だと思います。正しい知識がないんです、彼らは。啓発をやったことがないし、病気にもなったことがないんですから、わからないんです。わからない人が一生懸命考えている。それを手助けできますよという、その私たちのマンパワー、その能力、経験もあるんだよということを、きちんと知ってもらうこと、そういう場を作らないといけないと思います。司会  中山さんはいかがでしょうか。中山  これから、日本も世界もそうですけども、だんだん予算がなくなってきてですね、お金はないけれども、高齢者は増え障害を持つ方も増加してくるという、非常に困難な状況に追い込まれていくと思うんです。ただやっぱり、既存の財産をいかに有効に活用するかということを考えながら、うまく行政の仕組みを利用して、私たちは、横串を刺すというのでしょうか、行政、保健・医療・福祉従事者、患者・家族、それから市民の方、こういった方がたを繋げていくというのが、私たちのあるべき姿ではないかなと思っております。峰松  この25年間を振り返りますと、課題として残っているのが、学校教育に対するアプローチなんです。いろいろな啓発活動をやっていても、辿っていくと、子どもの頃の健康リテラシー、健康に対する意識レベルが、日本は必ずしも高くない。今後取り組むべき課題のうちのかなり上位に、この健康リテラシー問題があり、我々も早急に何らかの関与をしなければならないと思っています。司会  ありがとうございます。まだまだお話は尽きないかと思いますがそろそろお開きの時間です。長時間にわたりまして、皆様にお話しいただきました。これをもちまして、本日の座談会、お開きとさせていただきます。日本脳卒中協会の果たすべき役割、これからの活動を期待しております。皆様、どうもありがとうございました。竹川 英宏沼尾 ひろ子

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